不倫・不貞に気づいたら,どうすべきか
(裏切られた側)

やっていいこと,やってはいけないこと

「相手の勤務先に怒鳴り込む」は正解か?

不倫・不貞(肉体関係)が発覚した場合,まず頭をよぎるのが「離婚」でしょう。ただ,特に子供がいる場合など,離婚を即決できない・しない方も多いのが実情です。仮に離婚を決意しても,不貞をした配偶者が応じなければ,長期化することもありえます。

ただ,配偶者に対する関係は後にして,とりあえず,不貞の相手に対しては,責任を追及したい,責任を取らせたい,という方が圧倒的です。

相手の勤務先に怒鳴り込むとか,土下座をさせたいと考える人もいます。が,あまりお薦めできません。前者については名誉棄損,後者については脅迫・強要罪となり,あなた自身が刑事犯罪者になってしまう恐れもあります。それに土下座などは,相手にとっては一時の恥に過ぎず,のど元過ぎれば忘れてしまうといえるでしょう。

 

「相手の配偶者に告げ口する」のはどうか

状況にもよりますが,自分の配偶者と相手がいまだに関係を続けていて,それを強制的に辞めさせたい等の事情がない限り,相手の配偶者に告げ口することは,こちらにとってはあまりメリットはありません。相手からすれば,自分の配偶者に知られたくない,というのは最大の弱みであり,こちらの武器でもあります。みすみすこの武器を失うことになるからです。

 

「何もしない」ことは解決にならない

 

配偶者を問い詰めたら,泣いて謝罪して,今後は関係を断ち切ると約束した。それを信じてもう一度やり直したい。悪夢だったと考えて早く忘れたい(何もしない

という方がいます。これも1つの人生観でしょう。

ただ,不貞の相手は明らかに反社会的・反道徳的なふるまいをしたのに,何のペナルティも受けずに終わります。傷つくのはあなただけ。本当にそれでよいのですか?

相手の責任追及には,制裁の意味合いも多くありますが,相手に,二度と同じ真似をしないように,という警告でもあります。相手に対して何も行動を起こさないということは,相手に,自分の過ちを直視し,過ちをただす機会を放棄することになるのです。

大人の責任の取り方,それは慰謝料を払わせることです。金銭の負担により,相手に自身の行った罪を後日まで自覚させることが出来るのです。

「離婚したくないから,慰謝料請求したくない」は正解か

配偶者とやり直したいと思っている,離婚はしたくない。配偶者からは,関係を断ち切るから,相手に連絡しないように,と言われている。

もし不貞相手に慰謝料請求をしたら,配偶者は怒って,もう夫婦関係はもとに戻らないかもしれない。

こう考えて,相手への慰謝料請求をためらう人がいます。でも,この考え方は本当に正しいのでしょうか。たしかに,相手に慰謝料請求をしたことで配偶者が怒り,相手との再婚の決意を固めてしまう可能性もまったくゼロではないかもしれません(相手が独身の場合ですが)。

しかし,よく考えてください。不貞相手への慰謝料請求を断念すれば,本当に夫婦仲は回復するのでしょうか。そもそも,配偶者は本当に相手との関係を断ち切るのでしょうか。

残酷なようですが,あなたに対して「不貞相手に連絡しないように」と話している時点ですでに,配偶者はあなたではなく,不貞相手の方を大切に想っているともいえるのです。もし配偶者が,あなたとの関係をもとに戻したい,と心底思っているのであれば,あなたからの信頼を回復するために,どんなことでもするのではないでしょうか。相手に慰謝料を請求したら,それに腹を立ててあなたの元を離れてしまうような配偶者は,もともとあなたに愛情を寄せていない,と考えるべきです。

不確実な心配のために,不貞相手の責任を追及する機会を一生逃してしまってよいのか,そんなことはないでしょう。

 

相手に慰謝料請求することで,夫婦仲が円満になることも

むしろ,相手に慰謝料請求することは,あなたが配偶者とこの先,良好な婚姻関係を続けるうえで,プラスにもなりうるのです。

まず,不倫をする人は,たとえ今はあなたに対して謝罪していたとしても,少なくないな確率で,いずれ同じことを繰り返す傾向があります。不倫自体を軽く考えているか,あなたのことを甘く見ているのです。

そんなあなたが相手に対して慰謝料請求という法的手段に及んだ場合,配偶者は,あなたが本気で怒っており,いかに傷ついているかを実感させることが出来ます。あなたの傷と,自分のした過ちの結果を,目に見える形で見せつけることにより,深く反省させ,2度と繰り返さないという気持ちにつなげることが出来るのです。

また,あなたの相手に対する慰謝料請求に,配偶者が協力してくれた場合には,夫婦の共同作業を通して,夫婦仲の回復につながる,という場合もあります。

これらの効果が期待できる以上,配偶者に遠慮して,相手への慰謝料請求をためらう理由はないことがお分かりでしょう。

単にお金を得るだけでない,相手と書面を交わせることが重要

相手に慰謝料を支払わせる場合,必ず書面のやり取りをします。配偶者と二度と会わない,関係を持たない,約束を破ったら罰金○○円、等の誓約を入れることもありますし,謝罪の言葉を要求することもあります。このような誓約を取れれば,あなたにとってはまず ひと安心ともいえ,気持ちの切り替えも出来るでしょう。慰謝料請求をするのは,単に現実的に金銭を受けるだけが目的ではなく,このような書面を得られることのメリットが極めて大きいのです。

もちろん,ここで得た書面は,不貞をした配偶者にとっても,不貞をしたことの証拠として残りますので,将来,もしあなたが離婚したいと思ったときに,有力な武器ともなるのです。

不倫問題の解決策は慰謝料請求であること

ここまでお読みいただいて,相手に対する慰謝料請求がどれだけ意義があり大切なことか,お分かり頂けたのではないでしょうか。

配偶者に対する責任追及(離婚するかどうかも含め)はおいおい考えるとしても,不貞相手に対する慰謝料請求を遠慮する,あるいは先に延ばす理由は,何ひとつないのです。

 

では,不貞相手に対する慰謝料請求はどのように進めるのか,証拠は必要なのか,いくらとれるのか・・・ページを代えてご説明します。