調停において弁護士をつけたほうがよい理由については,「離婚,調停・訴訟の対策と進め方」のページでご説明しました。もう一度確認すると,
①調停委員に対して、正確に確実に主張を述べる
②法的な点からきちんと整理された書面を作成して提出する
③たとえ調停委員が相手の肩を持っても、冷静に対処し、その場を乗り切る
④調停委員の示してくる解決案に問題はないか、メリット・デメリットは何かを判断する
これらをひとりで完璧に行うのは至難の業であるからでした。
以上のように、弁護士を立てることは,調停を乗り切るためには実に必要なことです。
ただし正確には,調停以前から,離婚の話が生じた時点で,早々に弁護士を立てるのが得策といえます。
①解決のために何が重要か,もれなく検討し,最善の解決策に向けて戦略的な対応ができる
まず,離婚は,「離婚問題の解決のために」のページでご説明したように,様々な問題と絡み合い複雑です。
離婚すべきか,やめるべきか。とりあえず別居すべきかどうか。交渉を続けるか,調停を申し立てるか。
親権はどうするか,相手に親権を譲る場合の面会の条件をどうするか。
養育費の相場はどの位か,慰謝料を請求できるのか。財産分与はどうすべきか,住宅ローンが残っている場合はどうするのか・・・
これらの問題を漏れなくひとりで検討し,最適な解決策へ導くのは,ひとりではまず困難です。自分で考えていたのでは,漏れもありえるし,大きな判断ミスさえしかねません。離婚問題は,場当たり的・感情的な対応が厳禁で,いろいろな検討要素を併行的に考えながら,戦略的に進めていく必要があるのです。
②相手との交渉を任せることができる
そしてなんといっても,相手との交渉。当事者同士が話し合っても,感情に流され,なかなか前進は望めないのが現実です。なんといっても争いあっている者同士が交渉するのは,精神的にかなりキツイものがあります。
交渉こそは弁護士の最も得意とするところ。相手との交渉において弁護士は,法的な知識を総動員しつつ,相手の言い分がいかに根拠に欠け,譲歩しないことが相手自身の不利益になるかを説得しつつ交渉するのです。
③交渉,調停,訴訟・・・状況に応じてベストな選択肢の判断ができる
そして,どうしても交渉では解決に至らないと判断したときに,ベストのタイミングで調停申立てに移行。調停は弁護士に任せたほうがよいことは上述したとおりです。
実際にあった例をご紹介します。
夫から離婚を強く請求され,話し合いに疲れてしまい,金銭面のことは後でゆっくり決めようと思って,やむなく離婚届に押印したら,その後,出て行った夫と連絡がつかなくなった・・・
こうなるともう取り返しがつきません。
相手(夫)には不倫相手がいて,その女との再婚を狙っていたのです。何としても離婚を成立させたい夫は,こちらが離婚届に押印するまでは,しつこく話し合いをもとめてきたことでしょう。しかしこちらが押印すればもう,二度と話し合いのテーブルにつく気は無かったのです。きわめて少額の養育費だけは約束していましたが,本来とれたはずの財産分与や特に慰謝料については,もう期待できなくなってしまいました。
離婚届に押印する前に,一度,当事務所に電話相談してもらえれば・・・残念な事例でした。
ではここで,離婚問題を弁護士に任せることのメリットをまとめると,以下のようになります。
弁護士に依頼するメリット | ひとりで進めることの デメリットとリスク | |
---|---|---|
全体 | ☆解決のために何が重要か,もれなく検討し,最善の解決策に向けて戦略的な対応ができる ☆交渉,調停,訴訟・・・状況に応じてベストな選択肢の判断ができる | ☆重要なことを決めないまま解決を急いでしまう ☆とりあえず何をすべきかが分からず,相手の要求に応じてしまう ☆養育費,慰謝料,財産分与など,取れるべきものを取れなくなり,金銭的に損をする(逆に,払う必要のないものを払ってしまう) ☆何がポイントか,そのためにどういう方法を採るべきか分からないため,いつまでも迷って解決に至らない |
交渉段階 | 相手との交渉を全面的に任せることができる | ☆当事者同士の交渉は精神的につらい ☆忙しいなか,交渉の時間がとれず,いつまでも進まない ☆相手を説得できず,自分に不利な内容で合意してしまう |
調停段階 | ☆調停委員に対して、こちらの主張を正確に確実に述べることが出来る ☆法的に整理した書面を作成・提出し,調停委員を味方につける ☆たとえ調停委員が相手の肩を持っても、冷静に対処し、その場を乗り切る ☆調停委員の示してくる解決案に問題はないか、メリット・デメリットは何かを判断する | ☆調停委員に主張をうまく伝えられず,期待する方向に進んでくれない ☆書面を作成できず,調停委員に思いが伝わらない。調停委員の意見もころころ変わってしまう。 ☆調停委員が相手の味方をしたとき,焦ってしまい,冷静な主張が出来なくなる。 ☆その場にいるのがつらくなり,つい,相手の要望に応じて,不利な内容で終結してしまう。 ☆調停委員の提示してくる解決策が妥当なのかどうか,分からない。合意して終結して,あとで後悔しないか,判断できない。 |
訴訟段階 | ☆法的に整理した書面を作成・提出し,こちらの主張を裁判官に的確に伝える ☆弁護士が代理で出頭する | ☆書面の作り方が分からない ☆仕事や家事があるのに,毎回,裁判所に行く時間がない ☆そもそも法廷で何をすべきかが分からない |
合意段階 | あとで問題が再燃しないように,適切な合意書面を締結する | よく分からないまま合意書面にサインしたら,後日,蒸し返された。 |
では,弁護士であれば,誰に依頼しても同じなのでしょうか?
答えはNO!です。やはり,「離婚に強い」弁護士であることが望まれます。
この分野は何よりも経験がものを言います。離婚問題はこれまで述べてきた通り,様々な要素と絡み合う複雑な問題であり,依頼者にとって何が重要であり,その実現のために何をどうやって進めていくかの戦略が求められる分野です。
しかし,慰謝料,養育費といった,個別の交渉経験を積んでいる弁護士は多くとも,これまで述べたように離婚を総合的にとらえ,戦略的に進めていく弁護士は数少ないのが実態です。
将棋や碁に例えるのは不謹慎かもしれませんが,もし相手がこう出てきたら,こちらがこう出る,というように,常に一手二手,先を読んだ戦略が必要なのです。
もちろん,相手との交渉力も重要です。そのためも結局は,経験と知識がものを言います。
千葉シティ法律事務所の弁護士・合田は,依頼者様の将来のためにどのような解決が最善かを徹底検討し,その実現に向けて,離婚問題を戦略的に進めて相手と交渉し,あるいは調停等を行うことにより,依頼者の目標実現を図ってきた,「離婚に強い」弁護士です。このような知識と経験を持っていることは,当事務所の大きな財産です。
また,離婚問題は数ある法律問題のなかでも最も,人間の「感情」が絡む世界です。そこをおろそかにして,相手からYESの言葉だけを引き出してきても,依頼者の要求には応えたことになりません。
離婚に直面した方は,多かれ少なかれ,精神的に疲労して,弁護士を訪れることになります。千葉シティは,離婚問題はカウンセリングの面もあると考えます。弁護士には法的解決だけでなく,相談者の心の傷を癒すことを期待されています。弁護士はカウンセラーでもあるのです。
この点,千葉シティの弁護士・合田自身が,弁護士になる前に自ら離婚を経験しており,苦悩してきた過去があります。離婚問題で悩んでいる方の苦しみを誰よりも理解していると自負しています。
当事務所の弁護士も,かつて弁護士になる前,離婚に悩み,とある法律事務所に相談に訪れたことがあります。わらにもすがる気持ちで訪問したのですが,担当弁護士の口から出てきたのは,極めて冷淡で事務的な回答でした。弁護士は,必ずしも法的サービスの提供だけでなく,その人の「心の傷」のケアも重要な役割であることを悟った瞬間でした。
また,弁護士・合田は,弁護士になる前の十数年間,法律とは無関係の分野で勤務経験を経てきており,社会経験も豊富に積んでいます。依頼者との相談時にも相手との交渉時にも,こういった経験の有無の差は自ずと出てくるものです。
大学を卒業し,大学院に進学して司法試験に合格した経歴を持つ若手弁護士は,たしかに頭脳的には優秀でしょう。しかし何の社会経験も,結婚の経験すら持たない(若い弁護士諸氏は,「挫折」という言葉すら経験したことのない人が多いようです)彼らに相談をして,彼らから納得のいくアドバイスを聞けるかというと,疑問に思う人が多いようです。
ここまで読んでいただいたあなたは,相談や依頼が遅れると,取り返しのつかないことになりかねないことが,お分かり頂けたでしょう。少なくとも,相談することで損することはありません。
まずは,ご相談を。弁護士のご説明を聞いて,相談だけで終えても構いません。当事務所は,離婚事件に自信があるからこそ,無理な勧誘などは致しません。相談だけで終えるか,依頼をするか,話を聞いたうえで,あなたがお決めください。
30分や60分の相談だけでも,必ずや有益な情報が得られることでしょう。
精神的に参っている方は,話を聞いてもらうだけにも救われる,という場合も少なくありません。
まずは,弁護士と心の痛みを共有して楽になる,そんな気軽な気持ちで,相談にいらっしゃることをお薦めします。