誰も教えてくれない「調停」対策
~離婚,調停・訴訟の対策と進め方~

調停委員は「公正」か

 調停委員は、公正中立な立場で調停を進めると言われています。男女1名ずつという構成も、夫側、妻側、一方だけに加担しないための配慮のためと言われます。

 しかし、調停委員も人間です。好き嫌いもあれば偏見もあります。「公平か」と言われると、疑問視せざるを得ない調停委員もいるのが実情です。

 事案内容を先入観で判断し、一方に肩入れしすぎることもあります。一度、先入観を持たれてしまうと、その後、いくら必死に説明したとしても、なかなか耳を傾けてくれないこともあるのです。

「訴訟」「調停」を一人で行うことの難しさ

当事者が、調停委員にしっかりした説明をすることは難しい

 「訴訟」も「調停」も、代理人を立てず、自分ひとりで出席することもできます。もっとも、「訴訟」は、法律の専門知識が必要であり、主張内容は基本的に書面を提出しなければならず、自分ひとりで行うのは実際には困難なので、弁護士に依頼すべきです。

 一方の「調停」は、法律の専門知識は不要と言われています。書面を作成して提出することも義務づけれられてはいません。そのため、自分ひとり出席して進めていくことも不可能ではありません。

 しかしながら、自身の主張を、過不足なく理路整然と、説得力をもって、かつ時間内に、調停委員に説明していくのは、容易なことではありません。普段からそのようなプレゼンテーションによほど慣れた人でない限りは、難しいと思ったほうがよいでしょう。また、当事者はどうしても感情が入りすぎてしまい、客観的な説明ではなく自身の気持ちや不平不満を多く語ってしまうのですが、調停委員は客観的な事実を聞きたがっており、感情面に偏りすぎた説明は、聞く耳を持たないどころか、かえって心証を悪くしかねません。

調停委員2名 V.S. あなた・・・どうする?

 また、場合によっては調停委員が二人とも、相手の言い分を支持するような姿勢を示してくることもあります。二人が交互に自分に対して、「考え直しなさい」など、まるでこちらが悪いかのような言い方をしてくることも珍しくないのです。その場合、あなたはその場に、ただ一人きり。味方はいません。

精神的に落ち込むのは当然として、混乱のあまり、思いもよらない暴言を口走ってしまったり、あるいは最悪、自暴自棄になり、調停委員の言いなりになってしまって、相手の言い分のとおりに調停終了させてしまうことにもなりかねません。双方が同意した、とされて、調停が終了して調書を作成されると、もう取り返しがつきません。離婚調停の場合には、調書の作成により、離婚が確定してしまいます。

調停委員は気分屋?  書面提出の重要性

 書面提出は義務ではないとは言いつつ、自身の主張をしっかりと調停委員に理解してもらい、有利な方向に導くためには、やはり書面の提出は必要といえます。多くの調停案件を抱えており、決められた時間内に件数をさばかねばならない調停委員の立場からも、主張をきちんと整理した書面を提出することは時間の短縮と頭の整理にもつながり、喜ばれます。

 実際に、月に1度しか開かれない調停では、前回の内容の細かな点まで調停委員は覚えていません。前回のメモ書を見ながら進めるに過ぎないので、唐突に、前回と異なる意見を言い出し、唖然とさせられる場面にも遭遇することになります(前回まではこちらの意見に賛同するような姿勢を示していたはずなのに、突然、相手方の肩をもつように翻ってしまうなど)。

 そこで、こちらの主張をしっかりと書面にして提出しておくことは、調停委員に、前回までの内容をしっかりと思い出させ、調停委員の「気分の移り変わり」を予防する効果も期待できるのです。

 

調停成立? 本当にそれで大丈夫?

仮に、相手の言い分と、調停委員の説明に納得して、あなたがしぶしぶ離婚に応じるとしましょう。調書が作成され、最後に裁判官がやってきて内容を確認し、それで終了です。

離婚すること自体は納得したとして、条件面は、本当にそれで問題ないですか?養育費が、相場から考えておかしな額だったりしませんか? また、他に何か、決め忘れていることはないですか?

調停という特殊な環境では、緊張するのが当たり前。最後まで冷静さを維持するのは、極めて困難です。半ばパニックに陥り、決めるべきことを決めていなかった、ということになりかねません。

迷った場合には、その場で結論を出さずに次回に持ち越し、それまでに誰かに相談するなりして調べてみるのが鉄則ですが、最初の2~3回目ならまだしも、ある程度回数を重ねていると、調停委員も、解決を急ぐようになります。調停委員にもノルマのようなものがあり、1件の案件にあまり期間・回数をかけすぎるわけにもいかないので、こちらが「持ち帰って考えたい」と述べても、露骨に、今回で決着するように説得して来ることがあります。そこで迎合して終結してしまい、あとで漏れに気づいても、もう後の祭りです。

では,このような失敗を防ぐには、どうすればよいのでしょうか。

それは,弁護士を同席させることです。

自分の味方である弁護士に同席してもらい、その内容で合意して終結して本当に問題はないのか、その合意内容のメリット・デメリットは何なのか、その場で助言を仰ぐのが最善と言えます。

調停において弁護士が必要となる理由

これまで述べたように、

①調停委員に対して、正確に確実に主張を述べる

②法的な点からきちんと整理された書面を作成して提出する

③たとえ調停委員が相手の肩を持っても、冷静に対処し、その場を乗り切る

④調停委員の示してくる解決案に問題はないか、メリット・デメリットは何かを判断する

の点から、ひとりで調停に出席するのは避けるのが賢明と言えます。

あとで後悔しない最善の方法は、専門家である弁護士に依頼することです。

弁護士は、あなたの味方です。あなたにとって、最善の選択肢を示してくれます。弁護士に、調停の準備を頼むとともに、当日同席してもらい、意見を代弁してもらいつつ、助言を仰ぐ。これにより、上記のような問題点を気にすることなく、自分にとって最善の結論を得られる可能性が高まるのです。

では,訴訟や調停にさえならなければ,弁護士を立てる必要はないのでしょうか。

訴訟・調停になってから弁護士を探せば十分なのでしょうか。

もちろんそんなことはありません。

弁護士を早期につければつけるほど,あなたのメリットが大きくなります。

病気と同じで,重要なのは早期発見・早期治療。法律問題も同じ。素人療法を繰り返し,悪化させてから病院に行っても,手遅れの可能性もあるのです。

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